
ビジネスモデルは特許保護から除外されず
米国連邦最高裁判所は2010年6月28日にIn Re Bilski事件の判決を言い渡した。最高裁は5対4の多数票により、過去の判例及び、ビジネスモデルとして説明付けられる少なくとも一部のプロセスは米特許法101条 (35 U.S.C. §101) で定められた特許取得可能な対象の範囲内にあることを前提とする特許法の条文を支持した。
また、最高裁は「machine-or-transformation test(機械又は変革テスト)」は、出願されたビジネスモデルのようなプロセスに101条で定められている特許性があるかどうかを判断する唯一の方法ではないとした。しかしながら、「machine-or-transformation test」は、出願されたプロセスに101条で定められている特許性があるかどうかを判断する有用且つ重要な方法であると最高裁は言及している。従って、裁判所及び米国特許商標局において「machine-or-transformation test」は、101条で定められているプロセスの特許性を判断する方法として引き続き用いられることが予想される。
さらに、最高裁の見解は、ソフトウェアは特許取得可能な対象であり得ることを認識していると考えられる。例えば、最高裁は、「考えられる限りのコンピュータプログラム殆ど全てに対する有効特許は確立された特許法の原則によって妨げられるだろう」と最近までは激しく議論されたと指摘している。この事実はコンピュータープログラムのような予見できないイノベーションは常に特許の対象外というわけではないことを最高裁は提示している。最高裁は、101条を新規且つ予見できないイノベーションを含むように考慮された動的条款と表現し、相反する解釈は特許法の目的を妨げるであろうする見解を維持するとした。
本件に関する詳細は、6月29日付けの「IPアドバイザリー(英文・日本語訳文)」に記載されています。
お問い合わせ:
Michael S. Connor (マイク・コナー)
(704) 444-1022
「Break-Up Fee」と「 Reverse Break-Up Fee」: 課税措置の再認識
契約解除と引き換えに支払われる「Termination Fee」は、特にプライベートエクイティによる相対方式のM&Aにおいてより一般的になっている。買収の標的となる企業及び買収する側の企業はいずれもこのようなフィーの支払いに対する連邦所得税の下における扱いに注意すべきである。
フィーが買収の標的である企業から支払われる「Break-Up Fee」か、又は買収する側の企業により支払われる「 Reverse Break-Up Fee」であるかにかかわらず、財務省規定1.263(a)-5(c)(8) は、支払人が他の企業との取引を始めるために契約中の取引を打ち切り、そしてその両取引が相互に排他的である場合は、そのフィーを資産計上するように支払人に義務付けている。この課税措置は当事者間の契約によって変えることはできない。双方の当事者は、フィーをそれぞれ幾らずつ支払うかを交渉する際に、税控除がない場合の経済的インパクトを考慮すべきである。
しかしながら、競合する敵対買収の標的であった企業により支払われた「Break-Up Fee」は税控除可能であると主張する2009年度連邦租税裁判所の判決もある。Santa Fe Pacific Gold Company v. Commissioner において、Santa Feには、敵対的株式公開買い付け(乗っ取り入札)を避けるために、ホワイト・ナイト(友好的な買収相手)と合併契約を結んだ事実があった。その後その敵対的な入札者が提示金額を上乗せしたため、Santa Feの取締役会は信認義務により上乗せされた金額を受け入れざるを得なかった。Santa Feはそのホワイト・ナイトに6,500万ドルの「Break-Up Fee」を払った。フィーの支払い義務が発生し、フィーが支払われたのは1997年のことであった。これは、相互に排他的な取引が存在する場合は資産計上を義務付ける財務省規定が効力を発する2003年に先立つ。租税裁判所は、Santa Feはフィーを税控除できると判決を下す際に、敵対的な上乗せ入札であったことを踏まえてホワイト・ナイトに支払われたフィーの税控除を断固として支持し、後に導入された上記規定についてはまったく言及しなかった。恐らくSanta Feケースと類似した事実関係があれば、規定の有効性に対して異議を申し立てることも可能であろう。
最近のPrudential PlcのAIA Group Ltd.買収取引において、Prudential側の株主の支持が得られずこの取引は中止となったが、このようにフィーが競合する取引以外の理由による契約破棄のために支払われる場合は、当然ながらフィーは税控除されるであろう。
By Jasper L. (Jack) Cummings
(919) 862-2302
お問い合わせ:
清水一宏
(404) 881-4255
カリフォルニア州における日本から輸入される消費者向け製品に対する規制
カリフォルニア州では過去4〜5年、州外に製品製造業が移転するグローバル化の進行に伴い、製造地がカリフォルニア州外であろうともその製造工程において、カリフォルニア州の大気、水及び有害物質に関するより高い環境規制基準を課す方法を思案してきた。この目的のために、カリフォルニア州では、2008年に採用された「カリフォルニア・グリーン・ケミストリー・イニシアティブ」と呼ばれる取り組みを推進している。この政策は、製品の製造・輸送方法、ならびに含有する化学物質がカリフォルニア州の観点において環境的に安全であることを確実にするために、何処で製造されたかにかかわらずカリフォルニア州において販売される製品の製造を規制するものである。
この「グリーン・ケミストリー・イニシアティブ」は、弊事務所のMaureen Gorsen弁護士が以前局長を務めていた頃のカリフォルニア州有害物質規制局(以下、DTSC という。)の主要プロジェクトの一つであった。Gorsen弁護士は、グリーン・ケミストリーの必要条件に関するアドバイス・相談を消費者向け製品を製造するクライアントに提供するため、2009年にAlston & Bird 法律事務所に入所している。
過去2年間において、DTSC はグリーン・ケミストリー・プログラム実施のために規制概念の構築と提案に努めてきた。2010年6月には、年内中に成立予定の「Safer Consumer Product Alternatives/より安全な代替製品」のための包括的な一連の実施規則案を発表している。
これらの実施規則が策定されると、様々な規制措置のために化学物質及びそれらを含有する製品がDTSCにより特定され、それらの優先順位を定められる。一旦優先順位の高い(安全度の低い)製品としてリストアップされると、日本の製造業者は、製造及び日本からの輸送の課程においてより安全で環境により優しい方法が存在するか判断するために、DTSC の「life-cycle thinking」 に基づいて「代替手段の分析」を行うことが義務付けられる。その分析においてより安全な方法が存在すると判断された場合、DTSCは安全度の低い方法で製造された製品やより安全な代替物質が発見された懸念物質の持ち込み禁止等の措置をとることができる。DTSCがより安全な方法は未だ存在しないと判断した場合においても、製品の引き取り又はより広範な生産者責任プログラムを確立すること、或いは、将来においてDTSCがより安全と見なす代替品が発見できるように、カリフォルニア州におけるグリーン・ケミストリーの研究・開発に資金提供することをDTSC は製造業者に要求することができる。
規定案に対するDTSCへ意見の提出は2010年7月15日に締め切られた。DTSCは寄せられた意見を再検討し、8月末に正式な採択のために改定案を作成する。スケジュール通りであれば、日本企業に対する遵守要件は早ければ2011年1月より実施されるであろう。
お問い合わせ:
Ward L. Benshoof
(213) 576-1108
Maureen F. Gorsen
(916) 498-3305
ESIに関する証拠隠滅の規定と制裁措置における最近の米連邦巡回裁判所の異なる判断
最近の二つの米国連邦裁判所による判決は、電子的に保管された情報(ESI)の保存と収集における訴訟当事者の義務、及びESIが喪失又は破壊された際に科せられる制裁措置に多大な影響を与えるであろう。両裁判において、裁判所は証拠隠滅があったことから、証拠隠滅の当事者に対して不利になる陪審説示という形の厳しい制裁を下した。然しながら両裁判所は、いつ制裁が適切なのか、そして科せられるべき制裁措置の性質等の重要な点において意見を異にしている。
「Pension Committee of the Univ. of Montreal Pension Plan v. Banc of America Securities LLC, 685 F.Supp.2d 456 (2010)」 の裁判において、ニューヨーク州南部地区連邦地方裁判所は、「重大な過失」のみでも厳しい制裁を科すのが適切であり、書面によるリティゲーション・ホールド(当事者社内における証拠保全措置)、又はその他の対策を講じる手立てを怠ったことが「重大な過失」になり得るとしている。これは、テキサス州南部地区連邦地方裁判所の「Rimkus Consulting Group, Inc. v. Cammarata, 688 F.Supp.2d 598 (2010)」における判断とは対照的である。この裁判においては、厳しい制裁措置には「悪意」があることが条件であるとし、制裁措置を求める当事者は、失われたESIの争点との関連、ならびにそのESIの喪失により審理に不利が生じたことを証明する必要があるとした。
これらのケースは、証拠隠滅の申し立て及び適切な制裁措置の取り組みにおいて、連邦巡回裁判所間に大きな相違があることを示している。第5巡回裁判所と同様に、第7、第8、第10、第11、及びD.C.の巡回裁判所は「悪意」を条件としているようだが、第1、第4、及び第9巡回裁判所は第2巡回裁判所と同様にそうとはしていない。その一方で、第3巡回裁判所は両者の中間を取り、過失と審理における不利の度合いのバランスを求めている。両判決は、裁判所が訴訟当事者に何を求めているかについて貴重な洞察を提供している。訴訟当事者とその弁護士にとって、ことの本質をよく理解し、「Pension Committees」と「Rimkus」の判決によってもたらされたガイドラインに従うことは大変有益となるであろう。
お問い合わせ:
Douglas G. Scribner(ダグ・スクリブナー)
(404) 881-7752
Joann M. Wakana (若菜ジョアン)
(213) 576-1059
米国輸出規制: 2010年度改革に向ける取り組み
I. 輸出改革の目標
2009年8月にオバマ政権は、米国輸出規制(米国輸出管理規制 (EAR) の権限下において商務省産業安全保障局 (BIS) によって実施される。 )と国防貿易輸出規制 ( 国際武器取引規制 (ITAR) の権限下において国務省国防機器取引管理局 (DDTC) によって実施される。) の全面的な見直しを発表した。この包括的な見直しで、現在の米国輸出規制システムは非常に複雑で余剰なことが多く含まれており、国家安全保障のリスクを十分に軽減できていないことがわかった。
次の4項目が米国輸出規制システムの基本的な変更として検討されている。
(1) 単一規制品目リスト 二つの現在の規制品目リスト-Dual-Use(軍事・民間両用)品の商務省規制品リスト (CCL) とITARによって管理されている品目の米国軍需品リスト (USML) -は一つの全規制品目リストに纏められる。この単一リストでは、USMLはCCLのように、管理されている品目を明確に示す「ポジティブリスト」に変更される。
(2) 単一のライセンス管理局の創設 BIS, DDTC及びOFAC(財務省外国資産管理局)を一つの新しい管理局に纏める。輸出許可申請も単一の申請手続きに統一される。
(3) 単一執行-管理機関の創設 現行のシステムは複数の機関に執行義務が分散している。それらの執行機関はそのままの状態で残るが、調査を連携しまとめる単一グループが新設される。
(4) 単一ITシステムの構築 現在複数のITシステムが使われている。オバマ政権は、許可申請の受理・処理・審査及び輸出先の新規エンドユーザー確認のための単一オンライン情報源を提案している。
II. 実施
政権はこれらの変更を三段階で施行することを計画している。
フェーズ1は判定基準を基にした規制品リストの作成、フェーズ2は許可手続きの確立、フェーズ3は米国輸出規制の見直しの履行に関する議会の承認にそれぞれ重点を置く。フェーズ1と2には規制変更を通じての改革が含まれ、それらの改革はそれぞれの目標に対して既に進んでいる。政権の現在の目標は、2010年8月までに輸出規制改革イニシアティブのフェーズ1と2について、できる限り多くのことを済ませることであったが、正式には未だに何も発表されていない。
III. 結論
現在の米国輸出規制システムに見直しが必要なことは誰もが認めているが、輸出改革の過去における試みは失敗に終わっている。オバマ政権はこれらの変更をはっきりと強く奨励しているが、フェーズ3について議会において困難に直面するであろう。
米国輸出規制改革案についての詳細は、A&Bアドバイザリーをご参照ください。
お問い合わせ:
Kenneth G. Weigel(ケン・ワイゲル)
(202) 756-3431