
連邦取引委員会がHSR法合併事前届出及び役員兼任の基準の引き下げを発表
2010年1月19日に連邦取引委員会は、ハート・スコット・ロディノ反トラスト改正法(HSR法)に基づく合併事前届出及びクレイトン法第8条に基づく役員兼任の管轄基準を3パーセント引き下げることを発表した。HSR法の基準は米国民総生産の変動を反映するように連邦取引委員会により2005年から毎年改定されている。
HSR法合併事前届出の新基準
HSR法は、合併あるいは一定の価格基準を満たすまたはそれを超える議決権のある株式もしくは資産の買収を検討している企業(または個人投資家)に対して、連邦取引委員会と司法省に通知書を提出し取引が完了する前のある一定期間待機することを義務付けている。2010年2月22日以降に完了する取引について、次の改訂基準が満たされ除外項目が適用されない場合、当事者はHSR法合併事前届出と待機期間の条件を順守しなければならない。
1.取引の規模が2億5370万ドルを越える場合;
又は
2.(a) 取引の規模が6340万ドルを越え、(b) 取引の一方の当事者の総資産または年間純売上高が1億2690万ドル以上で、尚且つ、(c) 取引のもう一方の当事者の総資産または年間純売上高が1270万ドル以上の場合。
新しい役員兼任の基準
連邦取引委員会はHSR法基準を改定する際に、クレイトン法第8条に基づく役員兼任の審査基準の年次調整も発表している。HSR法基準と同様に、役員兼任の基準も最近の景気の低迷を受けて引き下げられた。クレイトン法第8条は、一定の除外項目はあるものの、一個人が二つの競合する会社の取締役または役員として兼務することを禁じている。2010年1月21日より有効となった改定基準においては、それぞれの会社が総額2584.1万ドル以上の資本、剰余金及び未処分利益を保有し、尚且つ一社もしくは両社が258.41万ドルを上回る競合する売り上げがある場合は、一個人がそれらの競合する会社で取締役または役員として兼務することはできない。
この事例に関する詳細は、「M&A/独占禁止法アドバイザリー」に記載されています。
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特許虚偽表示訴訟に関する概要報告
過去2ヶ月間、米国全土にわたり、合衆国法典第35 巻(35 U.S.C.)第292条「虚偽表示」に関する条項に違反しているとして、特許権者や販売業者に対する50件近い訴訟が民間の原告によって提訴された。これらの訴状によると、被告はその物品または広告において、その物品には該当しない特許、あるいはすでに失効した特許を表示したということである。また、その虚偽表示の目的は公衆を欺くことにあったとし、当該人は個々の違反行為について$500 以下の罰金を科せられるべきであるとしている。これらの原告による提訴の動機は、第292条の「何人も罰金を科すよう提訴することができ,その場合,罰金の半分は提訴者に帰属し,他の半分は合衆国による使用に委ねられるものとする」という条文に基づいているものであると思われる。
2009年末の連邦巡回裁判所のThe Forest Group, Inc. v. Bon Tool Co.1判決によると、各々の虚偽表示は別個の違反と見なされ、それゆえ虚偽表示がなされた物品の総数に応じて罰金が科されるべきであるとした。さらに、最近のPequignot v. Solo Cup2判決では、特許が失効すると、その特許に該当する物品は「非特許品」となるとされた。それゆえ、失効した特許、あるいは該当しない特許を表示した多数の物品に対する虚偽表示訴訟では、累計で多額の罰金を科すことができる見通しが大きいため、原告にとっては収益性の高いものとなり、また被告にとっては非常に高くつく可能性がある。
上記したように、勝訴に導くためには、原告は虚偽表示の目的が公衆を欺くことにあったことを証明しなければならない。しかし、今のところ原告側にこうした立証責任を果たすことができるかどうか、あるいは、原告の意図を証明するためには、どのような証拠が決定的な事実証明となるかということさえ明らかではない。
この事例に関する詳細は、以下の「IPアドバイザリー」に記載されています。
1. Recent Cases Affect Risk of False Patent Marking Liability
2. Update: False Patent Marking Complaints Skyrocketing
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1 No. 2009-1044, 2009 WL 5064353 (Fed. Cir., Dec. 28, 2009).
2 92 U.S.P.Q.2d 1495 (E.D. Va., Aug. 25, 2009).
2010年度の米国における貿易イニシアチブ
2010年度貿易イニシアチブは日米間の経済・貿易関係に直接的なインパクトを与えるであろう。オバマ政権は、ブッシュ前政権とは全く異なる貿易に対する姿勢を示している。ブッシュ政権下の大半においては、米国は新しい市場を開放し自由貿易協定の交渉に力を注いだ。また、世界貿易機構(WTO)を通じて大規模な多国間協議の締結も求めた。今年のオバマ大統領の一般教書演説において言及されてはいるが、ブッシュ政権下で交渉された自由貿易協定は未だに沈滞し、実施へ向けての運動にはほど遠い様子である。
ブッシュ政権とは対照的にオバマ政権は二国間協議や世界貿易機構を通じて、既存の貿易協定及びコミットメントを実施することで貿易を促進させようとしている。日本は、オバマ政権の幾つかの強制措置の対象とならないよう、引き続き警戒しなければならない。
輸入・輸出規制の分野においては、オバマ政権はブッシュ政権の路線を引き継いでいる。輸入規制に関しては、米国は安全保障に焦点を合わせている。境界線は米国の岸辺から輸出国側に動き続けている。この一月には、米国に商品が輸出される前に輸入業者が「Importer Security Filings (ISF)」を作成する義務が開始された。ISFの本来の効果はまだ見られていないが、米国政府はこの規定の公布により輸出入業者の経費が増加することを予想している。これらの新しい制約は貿易の減速及び貿易コストの増加に影響を与える。
輸出面においては、米国の輸出規制の実施が依然として米国商務省の産業安全保障局及び同国務省の国防貿易管理局の優先課題となっている。さらに司法省は、輸出規制の違反を刑事事件として精力的に訴追し続けている。
2010年の米国の国際通商の最前線において期待できることまたはできないことに関して、「Trends in International Trade Legal Issues/国際通商の法的問題のトレンド 」に詳細が記載されています。
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外国企業に対する召喚令状の送達-Yamaha v. Superior Court
最近のカリフォルニア州控訴裁判所の判決は、カリフォルニア州においては、現地子会社へ召喚令状を送達することで外国企業に対する送達を果たせるとした。
カリフォルニア州民事訴訟法413.10条によれば、アメリカ国外における訴状の送達を果たすにはハーグ条約の規定に従うことが求められる。一方、カリフォルニア州企業法2110条では、外国企業のカリフォルニア州の「general manager」への手渡しによる送達が企業に対する有効な送達になると規定されている。従って、カリフォルニア州では、外国企業の現地子会社が当該企業の「general manager」と見なされると、現地子会社への訴状の送達は有効でありハーグ条約は適用されない。この結果は州法が現地子会社経由で外国企業へ訴状を送達することを認める場合は、ハーグ条約の規定に従う必要はないとした1988年の米国最高裁判所の判例Volkswagenwerk v. Schlunkの結果とも一致する。
2009年のカリフォルニア州控訴裁判所の判例Yamaha v. Superior Courtにおいては、日本のメーカーであるヤマハ発動機株式会社(以下「ヤマハ日本」とする。)により製造された車両に乗車中に原告は負傷した。原告は、ヤマハ日本の米国子会社であるヤマハ・モーター・アメリカ株式会社(以下「ヤマハU.S.A.」とする。)がヤマハ日本の“カリフォルニア州における「general manager」である”という理論に基づいて、ヤマハU.S.A.に訴状を送達した。ヤマハ日本は、訴状はハーグ条約に従って送達されなければならず、ヤマハU.S.A. に対する送達は無効であると主張した。第一審裁判所はヤマハ日本の主張を却下し、ヤマハ日本はそれに対して上訴した。カリフォルニア州第4上訴地区控訴裁判所は、ヤマハU.S.A.は日本の親会社のアメリカにおける「顔」であり、カリフォルニア州でヤマハ日本の製品の販売、流通及びマーケティングを手掛けているので、ヤマハ日本のカリフォルニア州の「general manager」であるとして申し立てを却下した。従って、Yamaha v. Superior Courtの判例において、法廷は、ヤマハU.S.A.に対する訴状の送達は有効であり、ハーグ条約に基づく送達は必要なしと判定を下したのである。
Yamaha v. Superior Courtの判例における判定は、ハーグ条約に基づく被告への送達によるコストと遅れを避ける方法を原告に提供することにより、表面的には外国の被告を裁判にかけることをより容易にさせている。しかしながら、ハーグ条約に従う当事者の方が最終的に判決をより容易に海外で執行できることもあるので、法廷は「容易な方法が必ずしもベターではない。」と意見書の付言において警告を発している。そのような事情を踏まえて、法廷はその決定にも拘らず当事者が“自発的に”ハーグ条約に従って送達することを選択するであろうと予測している。
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